歯を抜かずに矯正したい

非抜歯を行える基準は以下のとおりです。

1. 歯を抜かずにも、見た目や機能の面で優れており、正しく噛み合わせができること
2. 歯を抜かずにも、美しい横顔を整えられること

この2つが実現できると判断した場合には、非抜歯治療を行うことがあります。

反対に抜歯を行わなければならない治療の基準は、以下のとおりです。

1. 抜歯を行わなければ、審美的かつ機能的に正しい噛み合わせができないこと
2. 抜歯を行わなければ、美しい横顔を実現することができないこと

審美面はもちろん、機能的にも噛み合わせが正しい位置に来ない場合には、抜歯での治療を提案することがあります。それは、矯正治療は単なる歯の整列だけではなく、患者さんが幸せになれるような治療をする事を当院では心がけているからです。
歯は生きていく上で一生使うものです。快適に楽しく日々暮らしていくための大切な歯ですから、審美面、機能面の両方での治療を大切にしてます。そして患者さん一人ひとりの希望も取り入れ、最適なプランを提案していきます。

無理な非抜歯矯正をすると、「出っ歯（上顎前突）」になることがあります。この出っ歯の原因の1つが、歯が整列できるスペースが不足しているということが考えられるからです。抜歯をせずに、きれいに歯を並べようとしても、スペースの不足はどうにもなりません。

イメージしやすい例で言えば、3人がけの椅子に、4人座ろうとする場合に似ています。無理に4人で座れたとしても、キツかったり、誰かが斜めになったり、座りきれずに前に出てしまうことがあります。

矯正治療もこれと同じことが言えます。歯が並ぶスペースが足りなければ、どこかに無理が生じます。非抜歯矯正を無理に行えば、歯が前に盛り上がって出てしまうこともあります。

そのため、当院では患者さんの歯の状態を正確に把握し、非抜歯でも治療が可能か、抜歯が必要かを見極め、適切な治療計画を提供しています。

顎骨に非常に小さな「インプラント（スクリュー）」を埋め込み、歯を移動させる矯正方法です。このインプラントスクリューを使用することで、従来では難しいと考えられていた「後方」へ歯を移動させることができるようになりました。

抜歯をしてスペースを開けなくても、インプラントスクリューを使えば、より複雑な歯の動きが可能になります。

ディスキングは歯（エナメル質）をわずかに削り、歯を移動させるためのスペースを確保するという治療方法です。通常、エナメル質は1〜2mmの厚みがありますが、この治療法ではそのうちの1/3（0.3mm〜0.6mm）程度を削り取ります。

健康な歯を削ることに抵抗を感じる方もいるかもしれませんし、もちろん削らないほうが良いのは確かです。しかし、エナメル質の削除量を適切にコントロールすれば、リスクはほとんどありません。

抜歯と非抜歯矯正の選択基準などをお話ししてきました。当院では可能な限り、非抜歯矯正を提案していますが、皆さんにお伝えしたいのは「非抜歯で治療することが目的になってはいけない」という点です。矯正治療の根本的な目的は、「歯並びの美しさと噛む機能性を回復」すること。非抜歯でこれを達成できる場合は、それを提案しますが、難しい場合は抜歯を提案することもあります。

抜歯が必要な場合でも、無理に非抜歯で治療できると主張する医院もありますが、当院ではそうした対応は行いません。患者さんが当院を選んでくださる際には、この点はご理解いただければと思います。